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錬金術


自然科学のなかでもとりわけ化学を専攻した人は、基礎課程のカリキュラムで必ず「化学史」を学ばれたはず。中世ヨーロッパやイスラム、そしてインド、中国でも卑金属から貴金属を作り出そうとした錬金術師の存在が知られていますね。

科学が進歩した今日では、物質の原子核の構成を変えることなく物質の性質を変えることなど出来ないのは中学生でも知っていることですが、当時は鉛や銅から金を作り出せるなどと本当に信じられていた。

そのような錬金術師には必ず富豪のスポンサーがついていて、金が作り出される日を首を長くして待ち望んでいたであろうことは容易に想像できますが、いかなる錬金術師も科学の真理を捻じ曲げることはできない。スポンサーは、金を手にするはずが金を失うということになったのでした。

しかし、硫酸や塩酸、苛性ソーダなど現代化学の基礎となる薬品の存在とその性質が明らかになったのは、錬金術師の存在なくしては語れない。そういった錬金術師が化学に大きな進歩をもたらしたと、学生時代に化学史の講座で習った記憶があります。

我が国でも近代(昭和初期)になってさえ、水から石油を作り出せるという錬金術師まがいの話に、当時科学の最先端を取り入れていたはずの海軍が騙されたという逸話を 阿川弘之が小説(確か「山本五十六」だったか「軍艦長門の生涯」だったか)の中で紹介していたはずです。

その顛末はというと、一晩中寝ずの監視をして、ついに錬金術師が隠し持っていた石油をフラスコに入れる現場を押さえるにいたって、海軍の夢ははかなく消えたのは言うまでもありません。

「石油の一滴は血の一滴」と言われた当時、そもそもアメリカからの石油の輸入を絶たれて、あの戦争に突入したのでした。水から石油が作れたら、間違いなく歴史は変わっていたでしょう。


さて、現代に戻り東ヨーロッパに目を移すと、ロシアが隣国ウクライナに軍事侵攻をしてより、NATO北大西洋条約に加盟している北米とヨーロッパ各国対ロシアの対立の構図は、いよいよ先鋭化し、ロシアの外貨獲得の頼みの綱である石油や鉱物資源の輸入禁止が打ち出されました。

ロシアは、外貨入手の道が断たれて困っているだろうことは想像に難くありませんが、ロシアから潤沢に供給を受けていた石油と天然ガスを自ら断つ道を選んだ西欧諸国もそれ以上に苦しい。ロシアと欧米の我慢比べは、この先どう転ぶのでしょう。

「石油の一滴は血の一滴」と憂うことになるのは、果たしてロシアか。はたまた欧米諸国か?

いや化石エネルギーのほぼ100%を輸入に頼る極東の島国こそ、70年前と状況は何ら変わっていません。


・・・まったく、錬金術師の力を借りたいものだと言いたいくらいです。





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