酒にまつわるもろもろの話 PART15「儀狄(ぎてき)」
漢字学者・阿辻哲次氏が日経に連載された「遊遊漢字学」より、阿辻先生の博識をお借りして酒を発明したのは「杜康(とこう)」であると書きましたが、よく調べてみると初めて酒を造ったのは、やはり同時代の「儀狄(ぎてき)」で「杜康(とこう)」はそれを改良したという説もあるようです。
それがいったいいつの時代であったかというと、これが古代中国の「夏」王朝のことであったとあります。考古学では、古代中国で最も古い王朝は「殷」(紀元前17世紀~紀元前11世紀)であるとされています。「夏」はそれより前にあったとされる伝説上の王朝とされてきましたが、近年考古学的な発掘によって、その存在が確認されつつあるということです。
「儀狄」「杜康」の時代は、それよりはるか前の「夏」王朝のことになりますから、「酒」の起源は少なくとも紀元前17世紀までさかのぼらなければならないということになります。
しかし、「儀狄」「杜康」の名が今日まで語り継がれているということは、やはり「酒」の存在がそこにあったからで、そうすれば「酒」の存在そのものが、「夏」王朝の実在を立証していることになるというのが、俄か考古学者( ← 私のことです)の説です。(笑!
その夏王朝の始祖・禹王(うおう)に「儀狄」が酒を献上した時、禹王は「この人を陶然とさせる美味な飲み物によって、やがて国を滅ぼす者が出るであろう」と言ったとか。
有名な「酒池肉林」の故事は、殷の第30代紂王(ちゅうおう)の悪政を語ったものですが、禹王の予言を実証したのが後の世の紂王ということになるのでしょうか。
・・・う~む、壮大なロマンですな。
今宵は「酒」を傾けながら、はるか昔、中国古代王朝の「夏」「殷」の時代に思いをはせてみるのも一興。しかし、殷の紂王のたとえもありますから、固く己を戒めているところです。(爆笑!

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