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「公人朝夕人(くにんちょうじゃくにん)」ってご存知か?


人気時代小説作家・上田秀人ファン必見の本、「武士の職分 江戸役人物語」。

これを読めば読者を虜にするストーリーの主人公がどうやって生まれたか知ることができます。上田自身がこの本でその種を明かしてくれました。

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まずブックカバーのイラストを見ると、4人の人物が描かれています。上田ファンならこの人物がどのような役職なのかすぐわかろうというもの。
上に描かれた人物から時計回りに、奥祐筆、表御番医師、目付、小納戸。いづれも上田のシリーズで主人公として登場していますね。奥祐筆組頭・立花併右衛門表御番医師・矢切良衛目付・鷹垣隼人正小納戸月代御髪・深室賢治郎、上田の魅力にどっぷり浸かってしまった私は、主人公の名前までそらんじてしまった。

さて、主人公の名前はさておき、これらのヒーローの役職を上田は次のような資料本から探し出したと言っています。

「江戸幕府役職集成」「江戸役人役職大辞典」「江戸時代奉行職辞典」「江戸幕府旗本人名辞典」・・・等々。

上田によれば、このような役職まであったと紹介されています。しかも、土田孫左衛門家の世襲であったというのですから、俄かにはちょっと信じがたいですね。

その役職とは、「公人朝夕人」。

まずどう読んだらいいのかからしてわからない。これを「くにんちょうじゃくにん」と正しく読める人はまずいないのではないだろうか。

公人朝夕人は将軍が禁裏や日光東照宮に参内した時に付き添い、将軍が不意の尿意を覚えた時、狩衣や袴の脇明から小用の筒を差し込むのが仕事であったというのですから、なんとも驚きです。

将軍の家来は旗本と御家人に分かれれているのはご承知の通り。その最大の違い、旗本は将軍に目通りが許されたが、御家人はそれがかなわなかった。

そこで私は一つ解決のしがたい疑問にぶつかるのです。

代々の公人朝夕人・土田孫左衛門は、旗本であったのだろうか、それとも御家人であったのだろうか?


公人朝夕人の禄は、わずか十人扶持(一人扶持は一日玄米五合、十人扶持は年にして十八石)であることからしても、下級武士であったことが想像できます。禄からすればおそらく御家人に違いないだろうと思われます。

庭先に侍りながら、将軍が用を済ますまで筒を将軍の一物にあてがう仕事は、どう考えても旗本の矜持にかなうものではなかろうと考えるのが普通でしょう。

しかし、代々の土田孫左衛門は、お目通りもお目通り、将軍の一物に間近に接するわけだから、立派な直参旗本だったのではないかと。(笑!

もしかしたら、ある日上田の新シリーズ「公人朝夕人秘録 捧げ持つ筒のしずく」が刊行されることがあるかもしれませんぞ。

・・・!? あるわけないだろう!上田の名誉のために付け加えておきます。



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