日経連載「哲おじさんと学ぶくん」に注目
たびたびこのブログでご紹介しているように、日本経済新聞は名前とは裏腹に最終面の文化欄が充実しています。日曜日の文化欄に新しい連載が始まってからおおよそ2ヶ月、哲学者永井均氏による「哲おじさんと学ぶくん」は、本日が第8話になります。
「そもそも人生とは何か?」、「ただ1回の人生、いかに生きるべきか?」
人類永遠の命題は、それこそ若いときに、人間として生まれたからには直視してみたいと思うこともしばしばありましたが、たどり着くことのできない深遠な水底に潜ってみようという勇気など、私にはあろうはずもありませんでした。
その誰もが尻ごみする哲学について、第1話から分かりやすく説いてくれているのが、この「哲おじさんと学ぶくん」。いわば哲学の入門書と言えましょう。大変分かりやすく平易に書かれているので、私のようなものにも肩肘張らず気軽に読み進めることができます。
「人生の問題を論理的に考える」と題された本日の第8話は、哲学と宗教、そして科学の関係について教えてくれています。
宗教のようなものに頼ってしまわざるをえないような人生の問題を、数学の問題を考えるように徹頭徹尾論理的に考えていく哲学にどのような価値があるのかと、"学くん"は問うています。
これに対する"哲おじさん"の答えが、端的に哲学、宗教、科学の関係を示してくれています。
いわく、人生とは何か、1回しかない人生をいかに生きるべきかこそが重要だろう。現在の科学はそれに答えているとは言えない。宗教は答えていると言えるかもしれないが、残念ながら宗教の主張することは嘘だ。嘘と言って悪ければ、根拠なき独断だと。
宗教で人生の苦しみが癒されるなら、宗教を信じたってべつにいいような気がするという"学くん"の反論に対して、"哲おじさん"の答えは、私が初めて耳にする言葉でした。
「それを否定するわけではない。哲学は、祈りを否定する祈りなのだから」
・・・!!
・・・哲学とは「祈り」であったか!?
しばらく、毎日曜日の日経文化欄から目が離せません。
