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時代小説が好きPART167「隠密味見方同心」(8)・(9)


大掛かりな抜け荷絡みの事件を暴き大手柄をたてた南町の敏腕同心・月浦波之進(つきうらなみのしん)であったが、「この世のものとは思えないほど美味しい料理」という謎の言葉を残して、何者かに殺されてしまう。

その波之進の弟・魚之進に「兄の供養のために味見方同心を継げ」との命が、南町奉行・筒井和泉守より下った。

・・・味見方同心?町方にそんな役回の同心なんてあったっけ?


「美味の傍には悪が潜んでいる。食い物の裏に潜む悪事を暴いて、兄の無念をみごと晴らしてみよ」。

筒井和泉守の命に答えんと魚之進は味見方同心として、数々の食い物がらみの事件を一つ一つ解決していきながら、亡き兄の残した謎の言葉「この世のものとは思えないほど美味しい料理」を手掛かりに、岡っ引き麻次とともに兄の足取りをこまめに探索していくのであった。

・・・すると、兄が探索していた大掛かりな抜け荷の背景には、なんと徳川御三家・水戸藩の姿が見え隠れして来るではないか?




そんな大物が相手では、たかが御家人風情の町方同心では太刀打ち出来ようはずがないではないか。兄の仇は諦めるしかないのないのか。大川に身投げしたいほど落胆する魚之進であったが・・・。




最終章のブックカバーに書かれた挿絵をご覧ください。吉原の花魁の着物のすそをまくって腰巻の尻をツンツンと突いているのが魚之進と思われます。もう片方の手は、菓子台にのった大福もちをツンツン。はたしてどっちが柔らかいのやら。(笑!

見るからに切れ者で俊英な兄に比べると凡庸を絵に描いたような魚之進。そんな情けない風情の魚之進でも、かって兄に仕えた岡っ引き麻次や先輩同心の赤塚専十郎も、一つ一つ謎を丹念に解き明かしていく魚之進の探索の仕方を兄以上に高く評価しているのであった。

それは直属上司の与力・安西佐々衛門(さざえもん)を通じて奉行の筒井和泉守の知るところにもなっていた。筒井和泉守は魚之進に兄・波之進がなしえなかった大掛かりな抜け荷の真相解明を託したのであった。

魚之進の謎解きとは別に読者がどうしても気になる結末がもう一つ。兄亡き後も月浦家に残る美貌の兄嫁・お静。お静へのほのかな恋慕に気づき慌てふためく魚之進。

味見方では解くに解けない恋慕の情をいったい味見方同心・月浦魚之進は、どのように解決するのだろう。


さっそく笑いと涙の最終章を読み進めるとしましょう。






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時代小説が好きPART166「隠密味見方同心」(1)・(2)


南町奉行所きっての腕利き同心・月浦波之進(つきうらなみのしん)に、南町奉行・筒井和泉守より特命が下った。

美味の傍には悪がはびこる。「味見方」として食い物屋を探り、悪事を暴けと。




波之進は大きな抜け荷がらみの事件で大手柄をたてた(三話「くじらの姿焼き騒動」)のであったが、「この世のものとは思えないほど美味しい料理」という謎の言葉を残して、何者かに殺されてしまう。

その波之進の弟・魚之進に「兄の供養のために味見方同心を継げ」との命が下ったのであったが…。




切れ者でその上容姿端麗の兄と違い、気弱な性格でただひなが一日を趣味の魚釣りでぼんやり過ごしていた弟の魚之進に、はたして味見方の隠密捜査ができるのか?

まずブックカバーの挿絵をご覧いただきたい。面長な顔立ちに眼光鋭い切れ長の目。そばをすすろうとしている姿が描かれている(第一話「禿げそば」)のが、兄・波之進。どんぶり飯を片手に、これはどじょう汁だろうか、煮え立った鍋からどじょうをすくい取っているのが、弟・魚之進。同じ切れ長の目でもこちらの顔からは、兄のような俊英さが微塵も感じられません。


そんな魚之進の前に謎の怪僧・北谷道海が現れる。兄・波之進にも仕えた岡っ引き麻次は、「ありゃ~、すでに捕まえられて獄死したとされている河内山宗俊(こうちやまそうしゅん)に違ぇ~ありませんぜ」と告げる。

道海が河内山宗俊だとしたら・・・?そして大掛かりな抜け荷の背景に見え隠れする御前と呼ばれる黒幕は誰か?河内山宗俊はその御前とどのようなつながりがあるのか?

波之進が遺した「この世のものとは思えないほど美味しい料理」を求めて、味見方同心・月浦魚之進は、今日も江戸市中の「食い物」の探索に明け暮れる。

はたして魚之進は、事件の全容を暴き兄・波之進の敵をみごと打つことができるのだろうか?






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長屋のトイレも借りてみたい


店(たな)中の尻で大家は餅をつき

お奨めの一冊「江戸川柳で現代を読む」から一首。本棚から取り出して、また読み返しています。

江戸時代長屋の共同トイレの糞尿は、貴重な有機肥料として高く売れた。年の暮れに溜まった糞尿を売れば、餅代どころか正月を迎えるもろもろの準備ができてまだゆうにお釣りが出たといいます。

そのことを羨んで長屋の住民が詠んだ川柳は秀逸の一語につきますね。

当時の江戸は世界に類を見ない リサイクル都市であったことをものがたる一首ですが、長屋の糞尿に限らず、古着や傘はもちろん、修理のできない鍋釜、ちり紙、障子の破れ紙、かまどの灰まで、ありとあらゆるものを取っておけば、専門の業者が長屋を巡ってきてはそれらを回収し、いくらかの代金を払ってくれた。


これに関連して、物質文明にどっぷりと浸かった現代には見られぬ"心豊かな生活ぶり"を窺い知ることが出来るこんな江戸川柳が、「お江戸でござる」(杉浦日向子著)にも載っています。





焼き接ぎ屋 夫婦喧嘩の角に立ち


茶碗が割れたからといって、捨ててしまうのが現代人。ところが、江戸人は、しっかり取っておいて「焼き接ぎ屋」がやって来るのを待つのです。

おそらくこんなやり取りが長屋の辻で交わされたのでしょうね。


「割れ物は、ないかぇ~、焼き接ぎ屋でござぁ~い」

「ちょいと、この茶碗接いでおくれっ!」

「あいよ、ただいま。・・・それにしても、御かみさん、派手にやりやしたねぇ~」

「そうとも、ったく、うちの宿六ときたら。・・・イヤだねぇ~、何を言わせるんだい」



白玉粉と呼ばれた粉(今でいう水酸化カルシウム)にフノリと粘土を加えたもので、割れた瀬戸物を接着して、熱を加えて焼き接ぎ、元どおりに修正してくれるのが、「焼き接ぎ屋」さんというわけ。

商売上手の「焼き接ぎ屋」は、夫婦喧嘩のあとにやって来たというのが、先にあげた川柳だったのです。


なるほど、感性豊かな江戸人の生活は、『ゆ・た・か』に相違ありません。

私も叶うことならば、そんな長屋の角に立って、住人の様子を窺ってみたいものです・・・。長屋のトイレも借りてみたいものですな。(爆笑!






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「病気が変えた日本の歴史」


いまや愛煙家ほど肩身の狭い思いをしている人はいないでしょう。

家でも職場でも喫煙の場所は取られるは、税金はしっかり取られるはで、踏んだり蹴ったり。お気の毒なことです。

物思いにふけるかのように紫煙をくゆらしながら、おもむろにグラスを傾ける。酒とタバコは男の象徴そのものであったと言えたのも、もはや遠い昔のこととなろうとしています。

その男の象徴の担い役であった酒。過度の飲酒による酒毒がもたらす健康被害については、どうでしょう?

アルコールの販売や広告の規制を求める指針案が、世界保健機関(WHO)において採択されてから、すでに10年以上経とうとしているのに、比較的世間一般ではタバコほどその実害が大きく騒がれていないようにも思われます。


まあ、世間一般ではそうかもしれないが、家では女房からやかましく言われているという方もいらっしゃるかもしれませんが。(笑!


習慣的な過度のアルコール摂取は、がんによる死亡率を高めるということは、すでに研究によって明らかになっていますが、酒の場合タバコと違って受動喫煙というようなことがありませんから、酒飲みは酒飲みの責任においてリスクを被るだけというのが、大きな要因といえるかも知れません。

「俺が酒を飲んだからといって、お前ががんになるわけじゃない」というわけです。


しかしよくよく考えてみると、何しろ神代の昔から、人間と酒とは深い関わりを持ってきたのですから、いったいどれだけの人間が酒のために命を縮めていったことだろうとも思うのです。


私の好きな歴史小説作家の一人、現役の医者でもある篠田達明は、その著書「病気が変えた日本の歴史」の中で、がんについて専門家の医者ならではの風変わりな見解を述べています。




戦国武将前田利家の死因を消化器系のがんであろうと推測して、そのがんについて、次のように書いています。

「がんはそれとわかってから半年ぐらいは命があるのが普通だし、臨終近くまで意識がはっきりしているので、遺言はじめ死後の処理を考える時間が十分ある。利家も余裕をもってさまざまな指図をすることができた」

「覚悟さえできれば、がんで死ぬのも悪くないな、とわたしは思う。だいいいち、がんは長い間ニコチンやアルコールを与えてわが身に育てた可愛い分身ではないか」

・・・う~ん、分身とな。


さて、酒をこよなく愛する輩(ともがら)よ、WHOの指針もどこ吹く風、篠田達明のようにありたいものだと思いませんか?





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時代小説が好きPART165「高家表裏譚 跡継」


人気時代小説作家上田秀人の新シリーズ「高家 表裏譚」、早速楽天ブックスで購入。

なんと新シリーズの主人公は、若き日の吉良上野介良義央。冒頭日本人なら知らぬものはいないと思われる、あの討ち入りのシーンから書き始められています。


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赤穂浪士による元禄の討ち入りは知っていても、その当事者の一方である上野介が高家の家柄であるということを承知している人は少ないのじゃないか。いや、そもそも高家とは何かから説明を聞かなければならないでしょう。

調べてみると、高家とは旗本の名でも足利以来の名家が担った役職で、幕府の儀式典礼を司り,勅使や公家の接待,京都への使い,伊勢,日光などへの代参をつとめたとあります。

赤穂の義士による討ち入りを題材にした時代劇では、ほとんど悪役に仕立て上げられているのが吉良上野介。ストーリーは普通このようになっていますね。

朝廷からの使者の接待役を幕府から仰せつかった浅野内匠頭が、使者の接待饗応の作法について、高家の吉良上野介に教えを乞うた。若くして清廉潔白な内匠頭は、上野介への配慮(付け届け)など微塵も頭になかった。

「高家を愚弄している。殿中の慣習を知らぬ田舎侍め」

賂(まいない)を当たり前のごとく要求する上野介は悪、武士の矜持を通した内匠頭は善。主内匠頭の無念を晴らした義士は、武士の鑑だと。


本書に戻って、とある日父吉良左近衛少将(さこんのえしょうしょう)義冬に呼び出された義央が目にしたのは、外様の雄前田家と毛利家から吉良家に届いた音物。毛利家は金子三十両、白絹三反。対する前田家、金子三百両、白絹二十反。

高家の役割には、朝廷への使者の他に、大名旗本の官位官職の斡旋があった。

「毛利家からの昇爵(しょうしゃく)の願いは、推挙いたしかねる」

父義冬は強引にも毛利家の願いを退けたのであった・・・。


かの吉良上野介義央の若き日を描く、「高家表裏譚」。義央はその誇り高き高家の跡を継ぐことになったのだが・・・。






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